店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 恋愛のすれ違いを、軽やかな会話と伏線回収で楽しみたい時
- 刺さるポイント
- 小さな嘘から始まる恋模様が、町全体を巻き込む連作のうねりへ広がっていく
- 向いている人
- 恋愛小説、連作短編、最後に見え方が変わる物語が好きな人
Reading Notes
読みどころメモ
今日は、浅倉秋成さんの 『失恋の準備をお願いします』をご紹介します。
物語の始まりは、告白を断るためについた小さな嘘です。 女子高生は、相手を傷つけずに距離を置こうとして、自分は普通の人間ではないという作り話をしてしまいます。 ところが相手の少年は、その言葉を思いがけないほどまっすぐ受け止め、彼女のために常識を飛び越えた愛を示そうとします。 そこから、モテすぎて困る高校生、盗み癖のある少女、働くことに追い詰められた社会人など、さまざまな人の恋と嘘が同じ町の中で交差していきます。
この作品は、恋愛を扱いながら、甘さだけで進む物語ではありません。 好きだからこそ言えないこと、嫌われたくなくてつく嘘、相手を思っているようで実は自分を守っている言葉。 そうした小さなずれが、笑える場面を生みながら、少しずつ大きな流れへ変わっていきます。 一つひとつの話は軽やかに読めますが、読み進めるほど登場人物同士のつながりが見え、連作としての仕掛けが効いてきます。
読みどころは、恋の失敗や勘違いを、ただ切ないものとしてだけではなく、人生を思わぬ方向へ動かす力として描いているところです。 失恋は終わりの合図であると同時に、自分の気持ちを見直すきっかけにもなります。 登場人物たちは不器用で、時に大げさで、でもどこか憎めない。 その人たちが町の中でぐるぐると交差する様子には、タイトル以上に前向きな読後感があります。
恋愛小説が好きな人はもちろん、短い話が最後にひとつの絵へまとまっていく構成を楽しみたい人にも向いています。 笑って読める軽さと、あとから効いてくる仕掛けの両方を持った、浅倉さんらしい一冊です。
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