店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 少女が大人へ変わる時期の痛みを、静かで鋭い物語として読みたい時
- 刺さるポイント
- ニュータウンの教室を舞台に、身体の変化、階層意識、他者への憧れと残酷さを丹念に描く
- 向いている人
- 思春期の曖昧な感情を、明るさと不穏さの両方で味わいたい人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、 村田沙耶香さんの作品、 『しろいろの街の、その骨の体温の』についてお話しします。
『しろいろの街の、その骨の体温の』は、少女が大人へ近づいていく時間を、静かな筆致で描いた長編小説です。舞台は、転校生が多く、どこか均質で新しい空気をまとったニュータウン。主人公の結佳は、小学生のころと中学生のころの二つの時期を通して、友人関係や身体の変化、自分の立ち位置を見つめていきます。
この作品で描かれる思春期は、きらきらした青春だけではありません。クラスの中で誰が上にいて、誰が下に見られるのか。誰の体が早く変わり、誰がまだ子どものままなのか。言葉にしにくい差が、視線や会話の端ににじみます。結佳はその空気を敏感に感じ取りながら、憧れ、嫉妬、嫌悪、親密さの間を揺れ動きます。
村田沙耶香さんの作品らしく、ここでも「普通の女の子」という像は、決して安定したものではありません。かわいいこと、正しく成長すること、周囲に合わせること。そのどれもが、結佳にとっては自然な道であると同時に、身体を締めつける枠にもなります。誰かと一緒にいたい気持ちと、相手を傷つけてしまう残酷さが、同じ場所に存在しているのです。
『しろいろの街の、その骨の体温の』は、三島由紀夫賞を受けた作品としても知られています。派手な事件で読ませる小説ではありませんが、読み進めるほど、教室の白い光や骨のような感触が残ります。少女時代を懐かしむのではなく、その時期の危うさをまっすぐ見つめたい人に向いた一冊です。
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