店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 噂や報道が人を追い詰めていく現代的なミステリーを読みたい時
- 刺さるポイント
- 一人の女性に向けられた疑惑が、証言と憶測によって別の顔を持ち始める
- 向いている人
- 事件の真相だけでなく、世間の視線の怖さを描いた作品が好きな人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、湊かなえさんの『白ゆき姫殺人事件』をご紹介します。
物語は、化粧品会社で働く美しい女性が殺害される事件から始まります。世間の関心はすぐに、被害者の同僚である一人の女性へ向かいます。彼女は本当に事件に関わっているのか。それとも、周囲の証言や噂が作り上げた都合のよい犯人像なのか。物語は関係者の言葉、報道、ネット上の反応を重ねながら、疑惑が広がっていく過程を描いていきます。
本作の面白さは、真相に近づくほど、人が語る「事実」の頼りなさが見えてくるところです。誰もが自分の記憶を語っているようでいて、そこには嫉妬、思い込み、自己保身、少しだけ自分をよく見せたい気持ちが混ざっています。聞き手が変われば同じ人物の印象も変わり、善良そうに見えた言葉が、別の角度からは誰かを傷つける刃にも見えてきます。
さらに、噂が増幅していく怖さも強く印象に残ります。断片的な情報がもっともらしく並べられ、本人の声が届かない場所で人物像だけが勝手に膨らんでいく。その流れはミステリーの緊張感であると同時に、現代の情報社会への鋭い批評にもなっています。読者は、犯人探しをしているつもりで、いつの間にか自分自身も噂を信じる側に立たされていることに気づかされます。
『白ゆき姫殺人事件』は、事件そのものよりも、事件を見つめる人々のまなざしが怖い作品です。誰かを知ったつもりになること、言葉を軽く扱うことの危うさを、読みやすい構成の中にしっかり残してくれる一冊です。
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