店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 自分の何気ない言葉や行動が、誰かの人生に残す影を考えたい時
- 刺さるポイント
- 無差別殺傷事件をきっかけに、過去のいじめと罪悪感が現在へ伸びてくる展開
- 向いている人
- 社会派ミステリーや、加害と傍観の境界に切り込む物語を読みたい人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、貫井徳郎さんの社会派ミステリー『悪の芽』をご紹介します。
物語は、大規模な無差別殺傷事件のニュースから始まります。犯人は現場で命を絶ち、世間は動機を求めて騒然とします。その報道を見た銀行員の安達は、犯人が小学校時代の同級生だったことに気づきます。さらに、自分の過去の振る舞いが、彼を孤立へ追いやるきっかけだったのではないかという疑念に取りつかれていきます。
安達は、犯人の人生をたどり直そうとします。けれど調べれば調べるほど、ひとつの原因だけで人が壊れるわけではないことも見えてきます。いじめ、家庭、学校、社会の空気、ネット上の反応。さまざまな要素が絡み合い、誰かを追い詰める力になっていく怖さが描かれます。
この作品が突きつけるのは、善人か悪人かという単純な問いではありません。自分は直接手を下していないから無関係だと言い切れるのか。子どもの頃の軽率さや、見て見ぬふりをした記憶は、どこまで責任と結びつくのか。安達の苦しみを通して、読者自身の過去にも視線が向いていきます。
『悪の芽』は、犯人探しだけでなく、事件の背景にある社会や人間心理をじっくり読みたい人に向いた一冊です。読み終えたあとには、悪意とは特別な誰かの中だけにあるものではなく、日常の小さな場所にも芽吹き得るものなのだと感じさせられます。
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