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砂上のファンファーレ 表紙

砂上のファンファーレ

2026年5月27日 更新

今日は、早見和真さんの『砂上のファンファーレ』をご紹介します。

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店頭POP

今の気分に合う一冊かも

気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。

こんな時に
家族の終わりと始まりを、静かに受け止める物語を読みたい時
刺さるポイント
母の変化をきっかけに、家族が失うものと残されるものを見つめ直していく
向いている人
介護、親子、再生を扱うヒューマンドラマを丁寧に読みたい人

Reading Notes

読みどころメモ

音声レビューの要点

今日は、早見和真さんの『砂上のファンファーレ』をご紹介します。

この作品は、ひとりの母の変化をきっかけに、家族の形が揺らいでいく長編小説です。還暦を過ぎた母は、少しずつ物忘れが目立つようになります。最初は年齢のせいかもしれないと思える小さな違和感も、やがて家族の暮らし全体を変えていきます。母はこれまでの母ではなくなっていく。けれども、そこにいる人が母でなくなるわけでもない。その受け止めがたさが、物語の中心にあります。

本作が描くのは、家族愛をきれいな言葉で包むだけの時間ではありません。介護する側には疲れがあり、苛立ちがあり、逃げたい気持ちもあります。大切な人を守りたいのに、その人の変化を直視するほど、自分が知っていた家族の記憶まで崩れていく。早見和真さんは、そのしんどさを急いで感動へ変えず、家族の中に生まれる沈黙や後ろめたさまで描いていきます。

タイトルにあるファンファーレは、祝福の音のようでいて、砂の上に立つ不確かな響きも思わせます。命の終わりが近づくとき、人は何を失い、何を受け継ぐのか。家族は支え合うものだと言われますが、実際には、誰か一人の献身だけでは立ち行かない場面もあります。その現実を見つめるからこそ、物語の中にある小さな優しさや、言葉にならない感謝が深く残ります。

『砂上のファンファーレ』は、親子の別れをただ悲しむ小説ではありません。変わってしまう人を前にしても、過去の思い出だけでなく、いま目の前にいる人と向き合うことはできるのか。その問いを、家族の再生の物語として静かに差し出してくれる一冊です。

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