店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- ふるさと、初恋、家族、過去の痛みが重なる長編にじっくり浸りたい時
- 刺さるポイント
- 病をきっかけに故郷へ戻る男を中心に、幼なじみたちの再会と贖罪の物語が動き出す
- 向いている人
- 重松清さんの中でも、生と死、許し、家族の記憶を扱う大きな物語を読みたい人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、重松清さんの長編小説『カシオペアの丘で 上』をご紹介します。
舞台になるのは、かつて炭鉱で栄えた北の町と、子どもたちが星を見上げた丘の上の遊園地です。主人公の俊介は、病を告げられたことをきっかけに、二度と戻らないと決めていた故郷へ向かいます。そこには、幼いころに一緒に遊んだ仲間たち、忘れたつもりでいた初恋、そして自分の中に深く沈めてきた出来事が待っています。
上巻では、俊介の帰郷を軸に、現在と過去が少しずつ重なっていきます。子ども時代の幸福な記憶は、ただ懐かしいだけではありません。楽園のように思えた場所にも、取り返しのつかない痛みがあり、大人になった登場人物たちはそれぞれの生活の中で、その影を抱え続けています。
重松清さんらしいのは、誰かを単純な加害者や被害者に分けないところです。後悔している人、許したいのに許せない人、何も知らないまま家族を支えようとする人。それぞれの思いが丁寧に描かれるため、読み手は一人ひとりの弱さに近づいていきます。
『カシオペアの丘で 上』は、物語全体の入口でありながら、すでに胸に残る場面の多い一冊です。失った時間は戻りません。それでも、人は過去と向き合い直すことができるのか。その問いが、下巻へ向かう強い引力になっています。
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