店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 科学捜査の知識で事件を解きほぐす、読みやすい連作ミステリーを楽しみたい時
- 刺さるポイント
- 元科捜研の鑑定人・土門誠が、証拠に残る事実と人間の嘘を切り分けていく
- 向いている人
- 法科学、警察ミステリー、癖のある名探偵タイプの主人公が好きな人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、 岩井圭也さんの作品、 『最後の鑑定人』 についてお話しします。
この作品の主人公は、元科捜研の鑑定人、土門誠です。 かつては、彼に鑑定できない証拠物なら誰にも鑑定できない、とまで言われた人物。 ある事件をきっかけに科捜研を辞め、今は民間の鑑定所を営んでいます。 無駄な会話を嫌い、人付き合いにも癖がありますが、証拠に向き合う姿勢は徹底しており、持ち込まれる不可解な依頼を科学の目で解きほぐしていきます。
物語は連作形式で、DNA鑑定、火災、白骨遺体、過去の事件に関わる遺品など、さまざまな案件が土門のもとに持ち込まれます。 証拠は何を語り、何を語らないのか。 科学的な分析は強力な武器ですが、それだけで人間の嘘や後悔まですべて説明できるわけではありません。 土門は感情に流されず、しかし人の人生から目をそらすこともなく、事実の輪郭を少しずつ明らかにしていきます。
この作品の魅力は、専門的な鑑定の面白さと、人間ドラマの読みやすさのバランスにあります。 証拠品から事件を再構成していく過程には知的な楽しさがあり、その一方で、事件の背景には、家族、労働、差別、喪失といった社会の痛みが潜んでいます。 科学は嘘をつかないとしても、嘘をつく人間の側には、それぞれの事情がある。 その距離感が物語に奥行きを与えています。
『最後の鑑定人』は、法科学を題材にしたミステリーとしてテンポよく読める一冊です。 癖の強い専門家が、証拠と人間のあいだにある真実を見つけていく物語が好きな人に向いています。
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