店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 手話通訳士の視点から、日常の中の事件と偏見を見つめたい時
- 刺さるポイント
- 法廷や地域の通訳現場で起きる出来事が、聞こえる側の常識を揺さぶっていく
- 向いている人
- 連作短編集、社会派ミステリー、やさしいまなざしの人間ドラマが好きな人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、丸山正樹さんの『龍の耳を君に』をご紹介します。
この作品は、『デフ・ヴォイス』に続くシリーズ第二作です。主人公は、ろう者の親を持つ手話通訳士の荒井尚人。法廷や警察、地域の通訳現場に関わりながら、荒井は聞こえる人と聞こえない人の間にある、言葉だけでは埋まらないずれに向き合っていきます。
収められているのは、荒井が関わる三つの事件です。ろう者を狙った悪質なトラブル、法廷通訳の場で生じる判断の難しさ、そして手話でしか証言できない少年の存在。どの話も、謎解きの面白さを持ちながら、事件の奥にある孤立や誤解を丁寧に描いています。誰が嘘をついているのかという問いだけでなく、そもそもその人の言葉が正しく届く場が用意されていたのか、という問いが物語を支えています。
前作よりも連作短編としての広がりがあり、荒井の家庭や周囲の人間関係も少しずつ見えてきます。読者の反応では、手話やろう者の生活を題材にしながら、押しつけがましさよりも物語としての自然さがある点を評価する声が多くあります。社会の仕組みの不備を描きつつ、そこに暮らす人の悩みや尊厳を、事件の結末だけで片づけないところに強さがあります。
『龍の耳を君に』は、聞くこと、伝えること、信じることをめぐる社会派ミステリーです。シリーズものではありますが、一話ごとに読みやすく、荒井という人物の奥行きも深まります。誰かの言葉を受け取るには、耳だけでは足りないのだと感じさせてくれる作品です。
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