店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 平成という時代の歪みを、犯罪捜査と人生の軌跡から読み解きたい時
- 刺さるポイント
- 過去の一家殺人と現在の事件がつながり、時代に埋もれた痛みが浮かび上がる
- 向いている人
- 社会問題を背景にしたクライムノベルや、長い時間をまたぐ謎解きが好きな人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、葉真中顕さんのクライムノベル『Blue』をご紹介します。
物語の起点になるのは、平成十五年に起きた一家殺人事件です。最も疑われた人物は死亡し、事件は決定的な解決を見ないまま時間の中に沈んでいきます。そこから年月が流れ、平成の終わりが近づく頃、別の殺人事件の捜査が始まります。過去と現在の事件は、少しずつ見えない線で結ばれていきます。
本作で描かれるのは、犯罪そのものだけではありません。児童虐待、貧困、外国人労働者、格差、見えにくい差別。平成という時代の中で積み重なった傷が、登場人物たちの人生に影を落としています。事件を追うことは、時代の裏側に置き去りにされた人たちの声を聞くことでもあります。
タイトルの『Blue』が示すように、物語には冷たさや哀しみがあります。けれど同時に、ただ暗いだけでは終わらない切実さもあります。なぜ人は壊れていくのか。誰がその壊れ方を作ったのか。加害と被害の境目が揺らぐ中で、読者は事件の真相だけでなく、社会そのものが抱えた責任にも目を向けることになります。
長い時間軸の中で謎が解けていく構成が好きな人、犯罪小説に時代の空気や社会の痛みを求める人に向いた一冊です。『Blue』は、平成の終わりから振り返ることで、見過ごされてきたものの色を静かに浮かび上がらせる作品です。
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