店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 歴史の謎と御手洗潔の推理を、静かな余韻のある長編で味わいたい時
- 刺さるポイント
- 芦ノ湖に現れたとされるロシア軍艦の写真から、世界史の影を帯びた物語が開いていく
- 向いている人
- 歴史ミステリー、海外の気配を含む謎、事件の奥に人間ドラマがある作品が好きな人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、島田荘司さんの『ロシア幽霊軍艦事件』をご紹介します。
物語の発端は、箱根のホテルに飾られていた一枚の写真です。そこには、本来ならいるはずのない帝政ロシアの軍艦が、芦ノ湖に浮かぶ姿として写されていました。巨大な船がどうやって山の湖へ現れ、なぜ一夜のうちに姿を消したのか。常識では説明しにくい謎に、御手洗潔と石岡和己が向き合っていきます。
この作品は、怪異めいた現象を扱いながら、読み味は歴史ミステリーに近い一冊です。目の前の不思議な写真から、物語は日本とロシアをまたぐ過去へ広がっていきます。軍艦、革命、亡命、身分の隔たりといった要素が重なり、事件の真相を追うことが、そのまま遠い時代に置き去りにされた人々の声を聞くことにもなっていきます。
御手洗潔シリーズとして見ると、本作は大がかりな不可能犯罪の派手さよりも、謎の背後にある歴史と感情の流れが印象に残ります。もちろん、芦ノ湖の軍艦という出発点には島田荘司さんらしい大胆さがあります。しかし、その謎が解かれていく過程では、奇想だけでなく、時間に埋もれた人生や祈りのようなものが浮かび上がります。
『ロシア幽霊軍艦事件』は、御手洗潔の推理を通じて、歴史のロマンと人間ドラマを一緒に読みたい人に向いています。派手な連続殺人よりも、ひとつの不可思議な伝承がどこへつながるのかをじっくり追いたい時に手に取りたい作品です。
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