店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 自分だけの歩幅や好きなものを、もう一度信じたくなった時
- 刺さるポイント
- 家族の変化と憧れの人との距離を通して、思春期の自己発見を描く
- 向いている人
- 大きな事件よりも、日常の中で心が少し伸びる物語を読みたい人
Reading Notes
読みどころメモ
今日は、森絵都さんの青春小説 『リズム』をご紹介します。
主人公のさゆきは、中学一年生です。 勉強が得意なわけでも、何か特別な目標を持っているわけでもありません。 けれど、近所に住む年上のいとこ、真ちゃんのことだけは、 小さいころからずっとまぶしい存在として見つめてきました。 真ちゃんは高校へ進まず、ガソリンスタンドで働きながらロックバンドを続けています。 大人たちから見れば危なっかしくても、さゆきにとっては、 周りの音に流されず、自分のリズムで生きている人なのです。
そんな真ちゃんの家族に、両親の離婚という揺れが訪れます。 さゆきは、大好きだった場所がこれまでと同じではいられないことを知り、 自分が何を大事にしたいのかを少しずつ考えるようになります。 憧れは、ただ遠くから眺めているだけではすみません。 近づけば相手の弱さも見え、自分自身の子どもっぽさにも気づかされます。 その痛みを通して、さゆきの目に映る世界は少し広がっていきます。
この作品は、派手な事件で読ませる物語ではありません。 家族の事情、進路への不安、好きな人へのまっすぐな気持ち。 そうした身近な揺らぎを、森絵都さんはやわらかく、しかし甘やかしすぎずに描きます。 さゆきの語りには未熟さがあり、その未熟さがあるからこそ、 自分の足で立とうとする小さな変化が自然に伝わってきます。
タイトルの「リズム」は、音楽だけを指しているわけではありません。 人にはそれぞれ、自分にしか刻めないテンポがあります。 周囲から外れているように見える生き方にも、その人なりの拍子がある。 『リズム』は、森絵都さんの出発点であると同時に、 誰かに合わせすぎて息苦しくなった心へ、静かに背中を押してくれる一冊です。
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