店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 子どもの目を通して、家族と世界の不思議さを笑いながら味わいたい時
- 刺さるポイント
- 公団住宅の大きな円卓を囲む大家族の日常から、孤独に憧れる少女の成長が見えてくる
- 向いている人
- 口の悪い主人公や、にぎやかな家族小説に惹かれる人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、西加奈子さんの『円卓』をご紹介します。
この作品の主人公は、小学三年生の琴子、通称こっこです。こっこは、両親と祖父母、そして中学生の三つ子の姉たちに囲まれて、公団住宅で暮らしています。家の中心にあるのは、家族がそろって食事をする大きな赤い円卓です。にぎやかで、近すぎて、逃げ場がないほどあたたかい家族の中で、こっこはなぜか「孤独」という言葉に強く惹かれています。
こっこの魅力は、子どもらしい素直さだけではありません。口は悪く、頑固で、まわりの大人や同級生が当たり前のように使う言葉や価値観に、いちいち引っかかります。その引っかかり方が、この小説の面白さです。大人なら聞き流してしまうことを、こっこは全身で受け止め、怒り、考え、自分なりの言葉にしようとします。
物語の中で起こる出来事は、世界を揺るがすような大事件ではありません。けれど、子どもにとっては、友だちとの関係も、家族の一言も、身体や病気や差別に触れる瞬間も、世界の見え方を変えてしまう大きな出来事です。円卓を囲む家族の騒がしさは、こっこを縛るものでもあり、彼女を受け止める場所でもあります。
『円卓』は、笑える場面の多い作品ですが、その奥には、子どもが初めて世界の複雑さに触れる痛みがあります。孤独に憧れるこっこが、本当に一人でいることの意味や、人と一緒に生きることの重さを知っていく。小さな日常の中に、成長のまぶしさと苦さが詰まった一冊です。
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