店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 地方の閉塞感と、積もった怒りが事件へ変わる重いミステリーを読みたい時
- 刺さるポイント
- 過去の家族毒殺事件と現在の大量殺傷事件が、ひとりの少女の影でつながる
- 向いている人
- イヤミス、社会派サスペンス、女性たちの怒りを描く群像劇が好きな人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、まさきとしかさんの『レッドクローバー』をご紹介します。
東京のバーベキュー場で、ヒ素による大量殺傷事件が起こります。記者の勝木が思い出したのは、十数年前に北海道の灰戸町で起きた家族毒殺事件でした。家族が死んだ家の居間で、ただひとり生き残った少女、赤井三葉。彼女は本当に家族を殺したのか。そして、現在の事件にも関わっているのか。
勝木は三葉の行方を追い、かつて事件が起きた町へ向かいます。灰戸町は、閉塞感と噂と諦めが積もった場所です。そこで暮らす人々は、それぞれに小さな怒りを抱えています。家族の中で、地域の中で、女として、母として、娘として。声にならなかった感情が、やがて取り返しのつかない悲劇を呼び寄せていきます。
本作の魅力は、犯人探しの興味だけでなく、町全体に漂う不穏さを読ませるところにあります。誰か一人の悪意がすべてを動かしたというより、見下し、嫉妬、我慢、諦めが長い時間をかけて燃え広がっていく。その連鎖が、過去と現在の事件を結びつけていきます。
読み味はかなり重く、明るい救いを期待する作品ではありません。けれど、だからこそ、家族や共同体の中に押し込められた感情が強く迫ってきます。イヤミスのざらつきと社会派サスペンスの厚みを求める人に、じっくり向き合ってほしい一冊です。
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