店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 閉ざされた場所で、人を診るとは何かを考える医療ミステリーを読みたい時
- 刺さるポイント
- 刑務所医療の現場を舞台に、病と罪と人生の事情が事件の形で浮かび上がる
- 向いている人
- 医療もの、職業小説、社会派ミステリーを一気に読みたい人
Reading Notes
読みどころメモ
今日は、 岩井圭也さんの作品、 『プリズン・ドクター』 についてお話しします。
この作品の主人公は、刑務所で受刑者を診る医師、是永史郎です。 奨学金免除の条件から矯正医官として働くことになった彼は、決して理想に燃えてこの職場を選んだわけではありません。 患者である受刑者には警戒され、刑務所という環境には独自の緊張があり、診察ひとつにも、詐病なのか、本当に病気なのかを見極める難しさがつきまといます。
物語は、ある受刑者の変死をきっかけに動き出します。 自殺を予告していた男の死は、本当に自ら選んだものだったのか。 それとも病が関係していたのか。 是永は限られた時間と情報の中で、医学的な手がかりを拾いながら、受刑者の身体に隠された真実へ近づいていきます。
魅力は、医療ミステリーとしての謎解きだけではありません。 刑務所という場所では、病気も、過去の罪も、家族との関係も、社会から切り離されてはいません。 診断することは、症状に名前をつけるだけでなく、その人がなぜそこにいるのか、どう生き直せるのかを考えることにつながっていきます。 是永自身も、最初は腰かけのつもりだった仕事を通して、患者を単なる受刑者としてではなく、一人の人間として見ざるを得なくなります。
『プリズン・ドクター』は、閉ざされた場所を舞台にしながら、社会の見えにくい痛みを浮かび上がらせる作品です。 緊迫した事件、医学的な推理、そして人が罪を犯した後もなお続く人生へのまなざしが組み合わさっています。 医療ものが好きな人にも、社会派の職業ミステリーを読みたい人にも手に取ってほしい一冊です。
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