店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 社会派ミステリーを、短編ならではの切れ味とブラックユーモアで味わいたい時
- 刺さるポイント
- 児童虐待、冤罪、尊厳死、創作の窮屈さなど、重い題材を皮肉と反転で見せる
- 向いている人
- 長編とは違う葉真中顕作品や、後味にひねりのある短編集を探している人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、葉真中顕さんの短編集『政治的に正しい警察小説』をご紹介します。
本作には、社会のひずみを題材にした六つの物語が収められています。表題作では、ある作家が、差別的な表現を徹底的に排除した警察小説を書くよう依頼されます。正しさを求めるほど物語は自由を失い、創作は奇妙な迷路へ入り込んでいきます。そのほかにも、家族、冤罪、尊厳死、将棋、食べ物の記憶など、身近な入口から思わぬ暗がりへ読者を連れていく話が並びます。
葉真中顕さんといえば、重厚な社会派長編の印象が強い作家です。けれど、この短編集では、重いテーマを真正面から語るだけでなく、皮肉や悪ふざけに近い笑いを交えながら、人間の思い込みを崩していきます。最初はほのぼのした話に見えても、読み進めるうちに足元がずれる。そんな反転の感覚が、短編らしい鋭さで効いています。
扱われる題材は軽くありません。それでも文章は読みやすく、一編ごとのテンポもよいため、葉真中作品の別の表情を知る入口になります。長編のように一人の人生を深く追うのではなく、社会の矛盾を小さな箱に閉じ込め、最後にふたを開けるような面白さがあります。
『政治的に正しい警察小説』は、社会派ミステリーにブラックユーモアを求める人におすすめしたい一冊です。読み終えたあと、笑っていいのか、ぞっとするべきなのか、その境目に残されます。
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