店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 競技者の視点から、悔しさと誇りを真正面から受け止めたい時
- 刺さるポイント
- 失ったものを数えるだけでは終わらず、もう一度自分の力で前へ進む意志が描かれる
- 向いている人
- スポーツの勝負感と、心の再生をどちらも大切にする物語が好きな人
Reading Notes
読みどころメモ
今日は、阿部暁子さんの『パラ・スター 〈Side 宝良〉』をご紹介します。
この作品は、『パラ・スター 〈Side 百花〉』と対になる一冊で、競技に向き合う宝良の視点から物語を描きます。 支える側の思いを描いた前作に対して、本作では、選手自身が抱える怒り、悔しさ、誇り、そして再び前へ進もうとする意志が中心になります。
宝良は、ただ励まされれば立ち上がれる人物としては描かれません。 自分の身体と向き合うこと、周囲の視線にさらされること、期待されることも、同情されることも受け止めなければならない。 その複雑さがあるからこそ、彼女の言葉や沈黙には鋭さがあります。 誰かに支えられることを必要としながら、同時に、自分の人生を自分のものとして取り戻そうとする姿が印象的です。
競技の場面には、勝負の厳しさがあります。 努力したから報われる、思いが強いから勝てる、という単純な世界ではありません。 技術、体力、精神力、環境、そして仲間との信頼が積み重なって、ようやくスタートラインに立てる。 その現実の重さが描かれることで、レースや練習の一場面にも緊張感が生まれます。
本作の魅力は、痛みを乗り越えた先にある明るさを、簡単な美談にしないところです。 失ったものは失ったまま残る。 それでも、今ある身体で、今いる場所から、もう一度挑むことはできる。 宝良の物語は、その事実を力強く伝えてくれます。 百花との関係も、支える人と支えられる人という固定した形ではなく、互いに影響し合いながら変わっていくものとして描かれます。
『パラ・スター 〈Side 宝良〉』は、スポーツ小説の熱量と、心の再生を描くヒューマンドラマの深さをあわせ持つ作品です。 悔しさを抱えたままでも前へ進む人の姿に触れたい時に、強く響く一冊です。
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