店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 自己否定や家族との距離を、少し別の角度から見つめ直したい時
- 刺さるポイント
- 死後の魂が別人の人生を借りる設定を通して、生き直しと赦しを軽やかに描く
- 向いている人
- 重いテーマを扱いながら、最後に世界の色が変わるような青春小説を読みたい人
Reading Notes
読みどころメモ
今日は、森絵都さんの青春小説 『カラフル』をご紹介します。
物語の語り手は、いったんは輪廻の流れから外れてしまった魂です。 その魂は、ある抽選に当たったことで、もう一度だけ現世でやり直す機会を与えられます。 ただし戻る先は自分の体ではありません。 自ら命を絶とうとした中学生、小林真の体に入り、真としてしばらく暮らしながら、 自分が犯した過ちを思い出さなければならないのです。
最初のうち、語り手の目に映る真の生活は、どこか冷たく、ぎこちないものに見えます。 父親、母親、兄、学校の同級生。 それぞれが欠点を抱え、身勝手に見え、真の人生は灰色に塗りつぶされているようです。 けれど、真として日々を過ごすうちに、語り手は少しずつ気づいていきます。 人は一つの色だけでできているわけではなく、嫌な面の裏には弱さや寂しさがあり、 見えていなかった優しさも、たしかに存在しているのだと。
この作品の魅力は、死や家族の不和、孤独といった重い題材を扱いながら、 説教くさくならず、ユーモアとやわらかさを保っているところにあります。 天使のプラプラとのやり取りには軽さがあり、その軽さがあるからこそ、 真が抱えていた痛みや、語り手がたどり着く発見が自然に胸へ届きます。
読み終える頃には、タイトルの意味が静かに立ち上がってきます。 人生は一色ではなく、他人も自分も、単純に決めつけられるものではない。 失敗や後悔を抱えたままでも、見方が変われば、世界にはもう一度色が差し込む。 『カラフル』は、そんな再生の感覚を、若い読者にも大人の読者にもまっすぐ届けてくれる一冊です。
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