店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 人生の曲がり角に立つ女性たちの静かな痛みを読みたい時
- 刺さるポイント
- 記憶、家族、病、恋の終わりが、夏の光と喪失感の中で重なっていく
- 向いている人
- 原田マハ作品の中でも、ほろ苦く大人びた短編集を求めている人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、原田マハさんの短編集 『夏を喪くす』をご紹介します。
この本には、人生のある地点で大切なものを失いかける女性たちの物語が収められています。偶然見つけた詩から、家族を捨てた父の記憶がよみがえる女性。意識の戻らない夫の口座に、毎月お金を振り込み続けていた人物と向き合う女性。新しい恋や病の告知を通して、自分が本当に望んでいたものを知っていく女性。それぞれの物語に、喪失と再生の気配が漂っています。
タイトルにある「夏」は、季節そのものだけではありません。まぶしかった時間、戻らない若さ、誰かを信じていた頃の自分、まだ何かを選べると思っていた感覚。登場人物たちは、その夏を失ったあとで、残された現実を見つめ直します。
原田マハさんの作品には、前向きな旅や人との出会いを描くものも多くありますが、この短編集はもう少し影の濃い読み味です。華やかな展開よりも、心の奥にしまっていた痛みがふいに表へ出てくる瞬間を丁寧に描いています。読後には、苦さと同時に、静かに息をつけるような余韻があります。
人生が思いどおりにいかなかった時、失ったものをなかったことにはできない時、それでも人は何を抱えて次へ進むのか。大人の心理を落ち着いた筆致で読みたい人に向いた一冊です。
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