店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 人の心や欲望をめぐる、少しぞっとする短編を読みたい時
- 刺さるポイント
- 便利そうな仕組みが、人間の思い込みや欲をあぶり出していく
- 向いている人
- 心理の皮肉とSF的な発明が混ざったショートショートが好きな人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、星新一さんのショートショート集『妄想銀行』をご紹介します。
本作は、人の心にある思い込みや欲望を、奇妙な仕組みや発明を通して見つめる作品集です。表題作の「妄想銀行」という言葉からも分かるように、目に見えないはずの妄想や願望が、まるで預けたり引き出したりできるもののように扱われます。その発想の軽さが、逆に人間心理の扱いにくさを浮かび上がらせます。
星新一さんの物語では、便利なものはいつも単純な幸福を運んでくるとは限りません。悩みを消したい、相手を変えたい、自分に都合のいい世界にしたい。そうした願いは一見もっともらしく見えますが、実際にかなってしまうと別の問題が顔を出します。
読みどころは、心の中のものを冷静に眺める視線です。人は自分の考えを合理的だと思いがちですが、少し角度を変えると、そこには妄想や執着や身勝手さが混ざっています。本作の短編は、それを説教としてではなく、奇妙でおかしい出来事として見せてくれます。
『妄想銀行』は、星新一さんの心理的な皮肉を味わいたい人に向いています。SF的なアイデアは分かりやすく、文章もすっきりしていますが、読後には人の心の危うさが残ります。短いのに深く、軽いのに少し怖い、ショートショートらしい魅力のある一冊です。
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