店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 不安やプレッシャーを、笑いながら受け止め直したい時
- 刺さるポイント
- 悩める患者たちが伊良部に振り回され、少しずつ自分の弱さと折り合っていく
- 向いている人
- 明るく読める医療系ヒューマンドラマや、クセの強い連作短編が好きな人
Reading Notes
読みどころメモ
今日は、 奥田英朗さんの直木賞受賞作、 『空中ブランコ』 についてお話しします。
この作品は、 精神科医・伊良部一郎が登場するシリーズの第二作です。 舞台は前作と同じく、 伊良部総合病院の地下にある神経科。
そこへやって来るのは、 跳ぶことが怖くなったサーカスの空中ブランコ乗り、 尖ったものが怖いヤクザ、 思うようにバットが振れなくなったプロ野球選手など、 人には言いにくい悩みを抱えた人たちです。
彼らはそれぞれ、 仕事や立場に強い責任を背負っています。 だからこそ、 できていたことが突然できなくなる恐怖は大きい。 自分の価値まで失ったように感じてしまうのです。
ところが伊良部は、 そんな患者の苦しみに対して、 深刻な顔をほとんどしません。 子どものように興味を示し、 場違いなほど楽しそうに動き回り、 相手の悩みを別の角度から揺さぶっていきます。
この作品の魅力は、 笑えるのに、 読後にはきちんと心が軽くなるところです。 伊良部の治療は常識的ではありません。 けれど、 患者たちは彼に巻き込まれることで、 自分を縛っていた思い込みや見栄から、 少しずつ自由になっていきます。
強く見える人ほど、 実は不安を抱えている。 大人になっても、 人は怖がるし、 つまずくし、 助けが必要になる。 その当たり前のことを、 この物語は明るいテンポで思い出させてくれます。
『空中ブランコ』は、 重たい悩みを正面から説教する本ではありません。 笑いながら読み進めるうちに、 自分の弱さまで少し許せるようになる、 不思議な温かさを持った一冊です。
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