店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 複数の物語が少しずつ絡み合う、技巧派の連作ミステリーを読みたい時
- 刺さるポイント
- 首折り男と呼ばれる殺し屋、泥棒の黒澤、いじめや合コンの場面が、別々に見えてひとつの流れへ収束していく
- 向いている人
- 短編の読みやすさと長編的なつながりの両方を楽しみたい人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、伊坂幸太郎さんの『首折り男のための協奏曲』をご紹介します。
この作品は、七つの物語から成る連作集です。首を一瞬で折る殺し屋の噂、隣人を疑う老夫婦、いじめに苦しむ中学生、合コンの席で交わされる物騒な話、そして伊坂作品でおなじみの泥棒、黒澤の仕事。ばらばらに見える出来事が、それぞれの距離を保ちながら、少しずつ響き合っていきます。
タイトルから受ける印象はかなり不穏ですが、読み味は単純な殺し屋小説ではありません。ある話では怖さが前に出て、別の話では会話の妙や人間関係のずれが笑いを生みます。さらに別の話では、弱い立場に置かれた人の痛みや、誰かを守ろうとする衝動が描かれます。その振れ幅が、協奏曲という言葉の通り、ひとつの本の中で複数の音色を鳴らしています。
本作の面白さは、仕掛けの多さだけではありません。読者は、登場人物が見ている情報だけを頼りに進みます。やがて別々の話が重なった時、同じ出来事の意味が変わり、何気ない台詞や場面が別の光を帯びます。伊坂作品らしい伏線の快感を、短編のテンポで味わえる構成です。
『首折り男のための協奏曲』は、軽妙な会話、物騒な設定、人間の弱さや優しさが同居する一冊です。読みやすい連作形式でありながら、読み終えたあとには、物語全体がひとつの大きな仕掛けだったような満足感が残ります。
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