店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 恋と友情の境目を、まぶしくて面倒な会話ごと楽しみたい時
- 刺さるポイント
- 片想い男子と考えすぎる女子の旅が、好きという気持ちの輪郭をゆっくり浮かび上がらせる
- 向いている人
- 甘さだけではない青春恋愛と、会話の温度を味わいたい人
Reading Notes
読みどころメモ
今日は、住野よるさんの小説『恋とそれとあと全部』をご紹介します。
めえめえこと瀬戸洋平は、同じ下宿で暮らすクラスメイトのサブレ、鳩代司に片想いをしています。二人は友達で、近くにいるのに、心の動き方はまるで違います。夏休み、サブレが遠方にある祖父の家へ向かうことになり、めえめえも思いがけずその旅に同行することになります。夜行バスに乗り、限られた時間を一緒に過ごす四日間。その道中で、二人は恋、友情、死、家族、自分の気持ちの扱い方について、遠回りしながら言葉を交わしていきます。
この作品の大きな魅力は、恋愛を単純な告白や成就の物語に閉じ込めないところにあります。めえめえの片想いは確かに物語の中心にありますが、その周囲には、恋と呼びきれない感情や、友情だけでは説明しきれない距離感が広がっています。サブレは物事を深く考え、時に面倒なくらい自分の感情を見つめようとします。めえめえもまた、好きな相手の近くにいる嬉しさと、自分だけが期待してしまう怖さの間で揺れます。
二人の会話は、まっすぐ進むようでいて何度も寄り道をします。その寄り道こそが青春の手触りです。言いたいことがうまく言えないこと、相手の言葉を正しく受け取れないこと、あとから自分の発言を思い返してしまうこと。そうした細かな心の動きが丁寧に描かれているため、恋をしている人だけでなく、誰かとの距離に悩んだことがある人にも響きます。
『恋とそれとあと全部』は、恋の甘さと、考えすぎる心のややこしさを一緒に抱えた青春小説です。好きという言葉だけでは足りない気持ちを、ゆっくり言葉にしていく一冊です。
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