店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 危うい愛とサスペンスが絡む物語を、一気に読みたい時
- 刺さるポイント
- 誰かを信じたい気持ちが、善悪の境界を少しずつ壊していく怖さ
- 向いている人
- 歪んだ恋愛心理や、後味の強い青春サスペンスが好きな人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、斜線堂有紀さんの作品、 『恋に至る病』 についてお話しします。
この作品は、恋愛小説の顔をした、かなり危ういサスペンスです。
物語の中心にいるのは、誰からも好かれる女子高生、寄河景。そして、彼女を幼い頃から知り、どうしても見捨てられない少年、宮嶺です。
やがて景は、多くの人を死へ追い込む事件の中心人物として語られることになります。けれど物語は、ただ恐ろしい少女を外側から裁くのではありません。宮嶺の記憶をたどりながら、彼女がどこで変わっていったのか、そして彼がなぜ止められなかったのかを、静かに追いかけていきます。
この本の怖さは、事件の大きさだけにあるわけではありません。
好きだから信じたい。 好きだから、見えている異変にも理由を探してしまう。 好きだから、正しさよりも相手のそばにいることを選んでしまう。
そうした感情の揺れが積み重なって、いつの間にか取り返しのつかない場所まで進んでいる。その過程に、読んでいるこちらの胸もざわつきます。
恋は人を救うこともあります。 けれどこの作品では、恋が救いであると同時に、逃げ道をふさぐものとしても描かれます。宮嶺の言葉や選択には、純粋さと弱さが同居していて、簡単に責めることができません。
読む人によって、景をどう見るか、宮嶺の愛をどう受け止めるかは大きく分かれるはずです。
甘い青春物語を期待すると、かなり苦い読後感が残ります。けれど、人を好きになることの美しさと怖さを、同じ温度で見つめたい人には強く刺さる一冊です。
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