店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 日常のすぐ隣にある、説明しきれない怖さを読みたい時
- 刺さるポイント
- 家族や友人への思いが、怪談めいた不穏さと結びついて静かに迫ってくる
- 向いている人
- 派手な恐怖よりも、後からじわじわ効いてくる短編が好きな人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、 辻村深月さんの短編集、 『きのうの影踏み』についてお話しします。
この作品は、 日常のすぐ隣にある不思議さや怖さを描いた短編集です。 怪談らしいぞっとする出来事もあれば、 家族や友人との関係の中で、 ふと説明のつかない違和感が顔を出す話もあります。 派手な恐怖で驚かせるというより、 読み終えてから静かに背中が冷えるようなタイプの物語が並んでいます。
登場する人たちは、 特別に危険な場所へ踏み込むわけではありません。 学校、家、近所、思い出の中の誰か。 身近な風景の中に、 言い切れない後悔や罪悪感、 誰かを思う気持ちが残っています。 その感情がふとしたきっかけで形を持ち、 現実と幻想の境目をにじませていきます。
辻村深月さんのホラーは、 怖さだけで人を突き放しません。 なぜその出来事が怖いのか、 なぜその人の心に引っかかるのかを、 登場人物の記憶や関係性から丁寧に描いていきます。 だからこそ、怪異そのものよりも、 人の心に残り続ける感情のほうが怖く感じられる場面があります。
短い物語の中に、 家族への愛情、友人への執着、 言えなかった言葉への悔いが詰まっています。 怖いのにどこか切なく、 不穏なのに人の温度が残る。 そのバランスが、この短編集の魅力です。
『きのうの影踏み』は、 一気に驚かされるホラーよりも、 読み終えたあとにじわじわ思い返したくなる話を求める人に向いた一冊です。
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