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ふちなしのかがみ 表紙

ふちなしのかがみ

2026年5月27日 更新

今日は、辻村深月さんの短編集、『ふちなしのかがみ』についてお話しします。

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店頭POP

今の気分に合う一冊かも

気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。

こんな時に
日常のすぐ隣にある不穏さや、子ども時代の怖さを味わいたい時
刺さるポイント
学校の怪談や鏡の向こう側のような身近な題材が、心の奥の歪みと結びついていく
向いている人
ホラーが好きで、心理描写のある短編集を読みたい人

Reading Notes

読みどころメモ

音声レビューの要点

今日は、辻村深月さんの短編集、『ふちなしのかがみ』についてお話しします。

この作品は、学校の怪談や子どもの遊び、鏡や階段といった身近な場所に潜む不気味さを描いたホラー短編集です。怖さの中心にあるのは、遠い異世界の怪物ではありません。誰もが一度は聞いたことのある噂、子どもの頃に信じていたおまじない、ふとした悪意や思い込みが、日常の輪郭を少しずつ歪ませていきます。

表題作では、恋の行方を知りたい少女が禁じられた占いに近づいていきます。鏡の向こうをのぞき込むという行為は、未来を見たい願いであると同時に、見てはいけないものを見てしまう危うさでもあります。辻村深月さんは、その怖さを大げさな演出だけに頼らず、登場人物の孤独や執着と結びつけて描きます。

収録作に共通しているのは、子ども時代の世界が決して安全なだけの場所ではないという感覚です。友だちとの関係、学校の空気、家の中の違和感。大人から見れば小さなことでも、当事者にとっては逃げ場のない恐怖になることがあります。その視点があるからこそ、怪談としての冷たさと、人間ドラマとしての痛みが同時に残ります。

辻村作品の温かい読後感に慣れている人には、少し暗く鋭い一冊です。けれど、心の弱さや見たくない感情をすくい取るまなざしは変わりません。じわじわと背筋が冷える短編を読みたい時に向いた作品です。

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