店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 相続、失踪、恋心が絡むスリリングな家族ミステリーを読みたい時
- 刺さるポイント
- 弟の妻を名乗る謎めいた女性に惹かれながら、主人公が名家の秘密へ踏み込んでいく
- 向いている人
- 恋愛感情に揺れる語り手と、家族の隠しごとが交差するサスペンスが好きな人
Reading Notes
読みどころメモ
今日は、東野圭吾さんの長編ミステリー『危険なビーナス』をご紹介します。
主人公の手島伯朗は、動物病院で働く独身の獣医です。ある日、彼のもとに、弟の明人の妻を名乗る女性、楓から連絡が入ります。明人が失踪したというのです。伯朗にとって明人は複雑な家族関係の中にいる弟であり、彼が受け継ぐ可能性のある遺産も、名家の事情も、できれば距離を置きたいものでした。けれど、明るく魅力的で、どこか危うい楓に頼まれたことで、伯朗は失踪の調査に巻き込まれていきます。
この作品の面白さは、主人公が探偵として冷静に動くわけではないところにあります。伯朗は楓を疑いながらも惹かれ、危険だと感じながらも放っておけません。その揺れがあるからこそ、読者も楓の言葉を信じたい気持ちと、何かを隠しているのではないかという不安の間を行き来します。恋愛感情が推理の邪魔をし、同時に事件へ踏み込む動機にもなるところが、物語をスリリングにしています。
相続をめぐる親族たちの思惑も大きな読みどころです。名家の中には、過去の事故、病、芸術、研究、財産にまつわる秘密が折り重なっています。失踪した明人を探す話でありながら、伯朗自身が避けてきた家族の歴史と向き合う物語にもなっていきます。謎が進むほど、誰が味方で誰が敵なのかが揺らぎ、家族という近さがかえって疑いを深くします。
『危険なビーナス』は、事件の真相だけでなく、恋心に振り回される主人公の危うさや、家族の中に隠された感情を楽しみたい人に向いた一冊です。軽快に読める一方で、欲望と愛情が同じ場所にある怖さがじわりと残ります。
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