店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 母と娘の距離に潜む秘密を、緊張感のあるミステリーで読みたい時
- 刺さるポイント
- 二人の母親が一人の女性の死を追う構図から、親子の思い込みと孤独が浮かび上がる
- 向いている人
- 家族の物語と真相追及のサスペンスを同時に味わいたい人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、辻堂ゆめさんの長編ミステリー 『ダブルマザー』をご紹介します。
物語は、真夏の駅のホームで一人の女性が命を落とす場面から始まります。現場に現れたのは、どちらも彼女の母親だと名乗る二人の女性でした。年齢も暮らしぶりも、娘との関係もまるで違う二人は、突然の死を受け止めきれないまま、同じ問いに向き合うことになります。死んだのは本当に自分の娘なのか。もしそうなら、なぜそんな結末を選んだのか。もし違うなら、自分の娘は今どこにいるのか。
この作品の面白さは、事件の謎と親子の謎が重なって進んでいくところにあります。二人の母親は、娘の足跡をたどるうちに、知っているつもりだった娘の姿がほんの一部でしかなかったことを思い知らされます。仕事、交友関係、過去の選択、誰にも見せなかった弱さ。調べれば調べるほど、娘たちの人生は母親の記憶から離れ、別の輪郭を持ちはじめます。
辻堂作品らしく、ただ犯人や真相を追うだけの物語ではありません。母親であることは、相手を理解していることと同じではない。愛情は、ときに相手を守る力にも、見えなくする覆いにもなる。そんな痛みを、サスペンスの推進力の中でじわりと浮かび上がらせていきます。
緊張感のある導入で一気に読ませながら、最後に残るのは、家族という近すぎる関係への問いです。親子の距離、孤独、そして誰かを知ろうとすることの難しさを、ミステリーとして味わいたい人に向いた一冊です。
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