店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 家族の近さと面倒くささを、ミステリーとして味わいたい時
- 刺さるポイント
- 解体直前の実家から始まる珍道中が、家族それぞれの嘘と本音をほどいていく
- 向いている人
- ロードノベル、家族小説、最後に見え方が変わる物語が好きな人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、浅倉秋成さんの 『家族解散まで千キロメートル』をご紹介します。
喜佐周は、実家で暮らす二十九歳。 古くなった家を取り壊し、両親は新しい住まいへ、姉は結婚へ、周も独立へと向かうことになり、家族はそれぞれの生活へ散っていくはずでした。 ところが引っ越し作業の最中、家の中から、ニュースで報じられた盗難事件のご神体にそっくりなものが見つかります。 どうやら不在がちな父が関わっているらしい。 家族は理由も事情もわからないまま、それを返すために青森へ向かうことになります。
物語は、家族全員を巻き込んだロードムービーのように進んでいきます。 車中では、誰もが言い出せなかった不満や諦め、過去の出来事が少しずつ表に出ます。 父は本当に盗んだのか。 なぜそんなものを持ち帰ったのか。 疑問を追う道のりは、そのまま喜佐家という家族の歴史を掘り返す旅にもなっていきます。
この作品の面白さは、ミステリーの引っ張る力と、家族小説としての生々しさが両方あるところです。 家族だからわかることもあれば、家族だから見ないふりをしてきたこともある。 互いに近すぎるせいで優しくできない会話や、今さら確かめにくい本音が、事件の謎と並走していきます。
派手な逃亡劇というより、ぎくしゃくした家族を乗せた車が、疑惑と記憶を積んで走り続ける物語です。 家族の面倒くささを知っている人ほど、笑いながらも胸の奥を突かれるはずです。 最後まで読むと、解散という言葉に込められた意味が少し違って聞こえてきます。
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