店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 御手洗潔シリーズの中編を、猟奇的な謎と横浜の怪異譚で味わいたい時
- 刺さるポイント
- 上高地の惨劇と横浜時代の幽霊騒動という、色合いの違う二つの事件が収録されている
- 向いている人
- 短めの御手洗潔作品を読みたい人、強い事件性とクラシカルな怪異の両方を楽しみたい人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、島田荘司さんの『上高地の切り裂きジャック』をご紹介します。
本作は、御手洗潔が関わる二つの中編を収めた一冊です。表題作では、上高地で発見された女優の遺体をめぐり、百年前の有名な猟奇事件を思わせる不穏な空気が立ちこめます。犯行の異様さに加え、有力な容疑者には崩しにくいアリバイがある。離れた場所にいる御手洗が、限られた情報から事件の構造へ迫っていく流れが読みどころです。
もう一編の「山手の幽霊」は、横浜時代の御手洗を描く作品です。こちらは、幽霊譚のような入口から始まり、土地の記憶や人の思いが重なっていきます。表題作の強い猟奇性とは違い、怪しさの中にどこか懐かしい空気があり、御手洗と石岡の関係性を楽しむ短編としても読みやすい内容です。
島田荘司さんらしさは、現実離れした事件の見せ方にあります。凄惨なイメージや幽霊の気配は、単なる雰囲気づくりで終わりません。御手洗の推理によって、奇妙な現象に別の輪郭が与えられ、怖さの奥に人間の事情が見えてきます。中編なので長編大作ほどの重量感はありませんが、その分、謎の形を素早く楽しめます。
『上高地の切り裂きジャック』は、御手洗潔シリーズを短めの作品で読みたい人に向いています。刺激の強い題材を含むため読む人は選びますが、猟奇的な事件と怪異譚の両方から、島田荘司さんの奇想を味わえる一冊です。
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