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この棚で手に取りたい理由
要約の冒頭と棚の手がかりから、手に取る理由をまとめました。
- 読みどころ
- 今日は、村山由佳さんの『放蕩記』をご紹介します。
- 棚のジャンル
- 文学 / 家族
- 試し聴き
- 音声レビューで、読む前に作品の雰囲気を確かめられます。
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、村山由佳さんの『放蕩記』をご紹介します。
この作品は、母との関係に深く傷ついてきた女性が、自分の人生と家族の歴史を見つめ直していく長編小説です。主人公の夏帆は、三十八歳の小説家。母の美紀子は、娘を愛しているつもりで、強い言葉や過剰な支配を繰り返してきました。夏帆はその呪縛から逃れようとしながらも、母を完全には切り捨てられず、怒りと罪悪感のあいだで揺れ続けます。
本作で描かれる親子関係は、単純な加害と被害だけでは割り切れません。しつけという名で行われた抑圧、娘の身体や選択にまで入り込む母の価値観、そこから自由になろうとする娘の激しい反発。読んでいて苦しくなる場面もありますが、その苦しさは、家族だからこそ逃げにくい感情のリアルさにつながっています。
物語が進むにつれて、夏帆の目は母だけでなく、母がどのような時代を生き、何を抱えてきたのかにも向かいます。赦しが簡単に訪れるわけではありません。それでも、怒りの奥にある悲しみを見つめることで、親子の関係は少しずつ別の形を帯びていきます。半自伝的な要素を持つ作品としての迫力があり、村山由佳さんの恋愛小説とはまた違う、切実な筆致が印象に残ります。
母娘関係、家族の呪縛、自己回復をテーマにした小説を読みたい方におすすめです。重い題材を扱いながらも、最後には、自分の人生を自分の手に取り戻そうとする人間の強さを感じられる一冊です。
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