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星を掬う 表紙

星を掬う

2026年5月27日 更新

今日は、 町田そのこさんの作品、 『星を掬う』 についてお話しします。

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今の気分に合う一冊かも

気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。

こんな時に
親子のすれ違いや過去の痛みを、静かに見つめ直したい時
刺さるポイント
母に捨てられた記憶と再会後の共同生活が、家族の思い込みを少しずつほどいていく
向いている人
家族小説の苦さと再生の余韻をじっくり味わいたい人

Reading Notes

読みどころメモ

音声レビューの要点

今日は、 町田そのこさんの作品、 『星を掬う』 についてお話しします。

この作品は、母に捨てられたという記憶を抱えて生きてきた女性が、長い時間を経てその母と再会するところから動き出す家族小説です。 主人公の千鶴は、夫との暮らしから逃れるように、かつて自分を置いていった母、聖子のもとへ向かいます。 そこで待っていたのは、思い出の中の母とはまるで違う姿と、血のつながりだけでは説明できない人たちとの共同生活でした。

物語の中心にあるのは、母と娘の関係です。 けれど、この小説は「親子なら分かり合える」と簡単には言いません。 愛情があったとしても伝わらないことがあり、守ろうとしたつもりの選択が、誰かにとっては捨てられた記憶として残ることもあります。 千鶴は、聖子のそばで暮らしながら、過去の出来事をひとつずつ見つめ直していきます。

印象に残るのは、登場人物たちがみな、どこかで「普通の家族」からこぼれ落ちたような痛みを抱えていることです。 母に見捨てられた娘。 娘との関係をうまく築けなかった母。 理想の母を他人に求めてしまう人。 それぞれの思いはすれ違い、時には読んでいて苦しくなるほど不器用です。 それでも物語は、誰かを責めるだけでは終わりません。

読み進めるほどに見えてくるのは、過去をなかったことにはできなくても、今から別の関係を結び直すことはできるかもしれない、という希望です。 町田そのこさんらしい、傷ついた人へのまなざしと、きれいごとに逃げない温かさがこの作品にはあります。

『星を掬う』は、家族の愛情がいつも正しく届くわけではないことを描きながら、それでも人は小さな光を手のひらに受け止めて生きていけるのだと感じさせてくれる物語です。 親子の距離や、過去の傷に静かに向き合いたい時におすすめしたい一冊です。

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