店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 短い物語で、東野圭吾さんのひねりあるミステリーを続けて味わいたい時
- 刺さるポイント
- 七つの事件それぞれで、死の裏にある思い込みや欲望が別の顔を見せる
- 向いている人
- 長編より短編集から入りたい人や、初期作品の切れ味を知りたい人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、東野圭吾さんの短編集『犯人のいない殺人の夜』をご紹介します。
この本には、死や事件をめぐる七つの物語が収められています。親友の転落死に納得できない青年、死の直前に残されたメッセージ、そこに死体も犯人も見当たらない奇妙な殺人。どの作品も、最初に提示される状況はわかりやすいのに、読み進めるほど「本当にそう見てよかったのか」と足元が揺らいでいきます。
短編集としての魅力は、ひとつひとつの話がコンパクトでありながら、事件の見え方が最後に変わるところです。大がかりなシリーズ設定に頼らず、日常の中の違和感、人間関係のこじれ、ちょっとした嘘や保身をもとに、読者を違う出口へ連れていきます。読み始めはシンプルな謎に見えても、真相が明かされると、人の心の弱さや身勝手さが静かに残ります。
表題作のように、タイトルからして矛盾を含んだ作品もあり、東野圭吾さんが初期から「事件の形そのもの」を工夫していたことが伝わってきます。文章は読みやすく、長編ほど重くない一方で、結末には苦さや皮肉が効いています。寝る前や移動中に一編ずつ読むにも向いていますが、続けて読むと、欲望が形を変えて何度も顔を出す構成が見えてきます。
東野圭吾さんの長編を何冊か読んだあと、短い話で別の切れ味を試したい人におすすめです。ミステリーの仕掛けと、人間心理の暗さを手軽に味わえる一冊です。
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