店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 警察組織の中で自分の居場所を探す人物の物語を読みたい時
- 刺さるポイント
- 似顔絵捜査官の視点から、事件と職場の圧力が重なっていく
- 向いている人
- 横山秀夫作品の硬さに、女性主人公の葛藤も味わいたい人に
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、横山秀夫さんの『顔 FACE』をご紹介します。
主人公の平野瑞穂は、警察官として鑑識の仕事に関わる女性です。彼女には、目撃者の記憶をもとに犯人像を描き出す似顔絵捜査官としての力があります。けれど、その力は組織の中で素直に認められるものではありません。男社会の空気、上司や同僚からの視線、現場で求められる結果。そのすべてが、彼女の前に壁として立ちはだかります。
この作品の読みどころは、事件の謎だけではなく、仕事の現場で人がどう傷つき、どう踏みとどまるかにあります。瑞穂は特別な才能を持ちながらも、万能のヒーローではありません。迷い、失敗し、悔しさを抱えながら、それでも目の前の人間の顔を見つめようとします。似顔絵を描くという行為は、単なる捜査技術ではなく、言葉にならない記憶や恐怖に形を与える作業として描かれています。
横山秀夫さんらしい警察組織の重さも健在です。正しいことをしたいという思いは、手続きや面子、部署ごとの論理とぶつかります。女性警察官としての孤独、職務への誇り、認められたい気持ちと譲れない一線。そのせめぎ合いが、物語に静かな緊張を与えています。
『顔 FACE』は、D県警シリーズの一作としても、横山作品の別の入口としても楽しめる短編集です。硬派な警察小説を読みたい人はもちろん、働く場所で自分の力をどう信じるかというテーマに惹かれる人にも向いています。犯人の顔を追う物語でありながら、最後に残るのは、仕事に向き合う一人の人間の顔です。
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