店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 常野一族の物語を、より緊迫したSFサスペンスとして読みたい時
- 刺さるポイント
- 拝島時子が一族と接触することで、家族の過去と敵の正体が迫ってくる
- 向いている人
- 特殊能力もの、追われる緊張感、家族の秘密をめぐる物語が好きな人
Reading Notes
読みどころメモ
今日は、恩田陸さんの『エンド・ゲーム 常野物語』をご紹介します。
『エンド・ゲーム 常野物語』は、不思議な力を持つ常野一族を描くシリーズの長編です。主人公の拝島時子は、「あれ」と呼ばれる存在と向き合ってきた家族の中で育ちました。相手を裏返すか、こちらが裏返されるか。そんな言葉でしか説明できない戦いが、彼女の人生の奥にあります。
物語は、時子の母が倒れたことから大きく動き出します。ひとり残された時子は、これまで距離を置いてきた一族と接触することになります。そこで見えてくるのは、失踪した父のこと、母が抱えてきた秘密、そして常野の力が人を守るだけではすまない現実です。
『光の帝国』や『蒲公英草紙』にある穏やかで懐かしい空気に比べると、本作はかなり緊迫した読み味です。能力を持つ者たちがひっそり生きるという設定はそのままに、相手の精神や存在をめぐる攻防が前面に出ます。誰が味方なのか、何を信じればいいのかが簡単には見えず、読み進めるほど不安が濃くなります。
恩田陸さんらしいのは、特殊能力をただの設定で終わらせないところです。力を持つことは、孤独や責任を抱えることでもあります。家族を守りたい気持ちと、自分が何者なのかを知りたい思いが重なり、物語にはSFサスペンスとしての勢いと、家族小説としての痛みが生まれています。
『エンド・ゲーム 常野物語』は、常野シリーズの中でも暗さと緊張感が強い一冊です。不思議な一族の優しさだけでなく、その力が呼び込む危うさまで見届けたい人に向いています。
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