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出口のない海 表紙

出口のない海

2026年5月27日 更新

今日は、横山秀夫さんの『出口のない海』をご紹介します。

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店頭POP

今の気分に合う一冊かも

気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。

こんな時に
戦争に巻き込まれた若者の青春を、静かに受け止めたい時
刺さるポイント
甲子園を目指した青年が、人間魚雷・回天という死を前提にした兵器へ向かう
向いている人
戦争小説や、時代に奪われる夢の重さを描く物語を読みたい人に

Reading Notes

読みどころメモ

音声レビューの要点

今日は、横山秀夫さんの『出口のない海』をご紹介します。

物語の主人公は、大学野球で将来を期待されていた青年、並木浩二です。彼は甲子園優勝投手として輝かしい過去を持ちながら、肘の故障によって思うように投げられなくなっています。野球への未練、仲間との時間、家族や恋人への思い。そんな日常の延長線上に、戦争がゆっくりと入り込んできます。

本作で描かれるのは、人間魚雷「回天」です。搭乗すれば帰還を前提としない兵器に、若い命が組み込まれていく。その異常さは、説明だけでなく、並木たちの青春が少しずつ狭められていく過程によって強く伝わります。彼らは最初から死にたかったわけではありません。夢もあり、怖さもあり、生きたい気持ちもある。それでも時代の空気や軍の論理が、個人の迷いを許さない方向へ押し流していきます。

横山秀夫さんの筆は、戦争を大きな歴史としてだけ描きません。ひとりの青年が何を失い、何を守ろうとしたのかに焦点を当てます。野球の記憶、家族との会話、仲間との絆があるからこそ、回天へ向かう選択の重さが胸に迫ります。戦争の悲惨さは、戦場の場面だけでなく、普通の生活が普通でなくなっていく過程にも宿っています。

『出口のない海』は、警察小説で知られる横山秀夫さんが、戦争と青春を正面から描いた作品です。派手な英雄譚ではなく、時代の中で逃げ場を失っていく若者の物語として読み応えがあります。命の重さ、夢を奪われることの痛み、そして語り継ぐことの意味を考えたい人にすすめたい一冊です。

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