店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 別れの物語を、軽妙で少し奇妙な会話劇として読みたい時
- 刺さるポイント
- 五人の恋人に別れを告げる男と、見張り役の繭美が、不思議な旅のような数週間を進んでいく
- 向いている人
- 恋愛の甘さよりも、可笑しさとほろ苦さが残る連作を楽しみたい人
Reading Notes
読みどころメモ
今日は、伊坂幸太郎さんの『バイバイ、ブラックバード』をご紹介します。
この作品は、五人の女性と同時に付き合っていた男、星野一彦が、それぞれの恋人に別れを告げて回る連作小説です。星野は、何か大きな事情によって、まもなく「あのバス」に乗せられ、どこかへ連れていかれることになっています。その前に彼が望んだのは、恋人たちへ直接さよならを言うことでした。
ただし、この別れの旅はしんみりした恋愛小説にはなりません。星野のそばには、見張り役として繭美という強烈な女性がついています。粗暴で遠慮がなく、常識的な優しさとはかなり距離がある人物ですが、彼女の存在が星野の曖昧さや弱さを容赦なく照らします。二人のやり取りは可笑しく、時に乱暴で、それでいて不思議なリズムがあります。
各章では、星野が過去に関わった女性たちと向き合います。軽薄に見える男の言葉の中に、相手を傷つけた事実や、どうにもならなかった感情が浮かび上がります。別れを告げる場面なのに、ただ後悔だけで終わらないところがこの作品の魅力です。人物たちはみな少しずつずれていて、だからこそ会話の隙間に本音がにじみます。
伊坂作品らしい軽妙さはありますが、中心にあるのは、ちゃんと別れることの難しさです。自分勝手だった過去を帳消しにはできない。それでも最後に顔を合わせ、言葉を渡そうとする。その滑稽さと誠実さの混ざり方が、読み終えたあとにほろ苦く残ります。
『バイバイ、ブラックバード』は、恋愛、別れ、奇妙な旅をユーモアで包んだ一冊です。明るく読めるのに、最後には人との関係の重さを少し考えたくなる作品です。
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