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仏果を得ず 表紙

仏果を得ず

2026年5月27日 更新

今日は、三浦しをんさんの『仏果を得ず』をご紹介します。

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店頭POP

今の気分に合う一冊かも

気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。

こんな時に
伝統芸能の世界に生きる若者の情熱を、現代のお仕事小説として味わいたい時
刺さるポイント
文楽に魅せられた若手の語り手が、芸の厳しさと恋や迷いの間で成長していく
向いている人
職人の世界、師弟関係、芸道ものに惹かれる人

Reading Notes

読みどころメモ

音声レビューの要点

今日は、三浦しをんさんの『仏果を得ず』をご紹介します。

本作の中心にあるのは、人形浄瑠璃文楽の世界です。高校の修学旅行で義太夫節に出会い、その魅力に取りつかれた青年は、語り手として芸の道へ進みます。舞台の上で物語を語ることは、ただ声を出すだけではありません。登場人物の感情、場面の空気、三味線との呼吸、人形の動きまで背負いながら、客席にひとつの世界を立ち上げる仕事です。

三浦しをんさんは、伝統芸能を遠いものとしてではなく、現在を生きる人間たちの職場として描いています。稽古は厳しく、先輩や師匠の言葉は容赦がありません。才能だけでは届かない壁があり、好きだからこそ苦しくなる瞬間もあります。主人公は芸にのめり込みながら、恋や人間関係、未熟さへの苛立ちにも揺さぶられていきます。

この作品のおもしろさは、文楽の専門的な世界を扱いながら、物語の芯がとても身近なところにある点です。何かを本気で好きになることは、人を自由にもするし、時には愚かにもします。うまくなりたい、認められたい、けれど思うようにできない。そんな焦りや情熱が、若い語り手の姿を通して生き生きと伝わってきます。

『仏果を得ず』は、伝統芸能への入口としても、ひとつの仕事に賭ける青春小説としても楽しめる一冊です。舞台の奥にいる人々の汗や迷いを知ることで、芸を受け継ぐことの重さとおもしろさが、ぐっと近く感じられます。

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