店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 家族だからわかり合えるはず、という思い込みをほどきたい時
- 刺さるポイント
- 母の病をきっかけに、父と息子たちの不満や秘密が一気に噴き出していく
- 向いている人
- 家族小説、再生の物語、痛みのある人間ドラマをじっくり読みたい人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、早見和真さんの『ぼくたちの家族』をご紹介します。
若菜家は、どこにでもありそうな四人家族です。母の玲子は家族の中心にいて、父と二人の息子たちは、それぞれの距離を保ちながら日々を過ごしています。ところが、玲子の脳に病が見つかったことで、家族の均衡は一気に崩れます。支え合うべき場面のはずなのに、父の借金や息子たちの不満、これまで見ないふりをしてきた問題が次々に表へ出てきます。
この作品が描く家族は、やさしく寄り添うだけの存在ではありません。近くにいるからこそ傷つけてしまう。助けたいのに、どう動けばいいのかわからない。心配しているはずなのに、自分の都合や怒りが先に出てしまう。そんな不器用さが、父、兄、弟それぞれの視点から浮かび上がります。
読んでいて苦しくなるのは、誰か一人を悪者にすれば済む話ではないからです。家族の中には、長い時間をかけて積もった誤解や甘えがあります。病という出来事は、その奥にあったものを強引に照らし出します。けれども本作は、壊れかけた家族をただ突き放すのではなく、そこからもう一度関係を結び直そうとする人間の弱さと粘りを描きます。
『ぼくたちの家族』は、家族とは何かを正面から問いかける長編です。泣ける話としてだけではなく、近しい相手ほど本当の気持ちを伝えるのが難しいという現実を見つめる作品でもあります。家族小説の温かさと痛みを、どちらも味わいたい人におすすめです。
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