店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 青春の記憶が、後になって別の意味を持ちはじめる物語を読みたい時
- 刺さるポイント
- 帰国子女の高校生活と淡い恋が、時間を経て思いがけない謎へ変わっていく
- 向いている人
- 青春ミステリー、切ない恋愛、記憶の反転を味わう作品が好きな人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、貫井徳郎さんの青春ミステリー『明日の空』をご紹介します。
主人公の栄美は、海外で育った帰国子女です。日本の高校に通い始める彼女は、桜の美しさを楽しむ余裕もないほど不安を抱えています。言葉や空気の違いに戸惑いながらも、少しずつ友人ができ、気になる男の子とも距離を縮めていく。前半は、慣れない場所で居場所を探す少女の青春小説として読ませます。
けれど、この作品はそこで終わりません。高校時代に経験した出会いと別れは、時間が経ってから別の意味を帯びていきます。大学生になった栄美の前に現れる人物をきっかけに、思い出としてしまい込んでいた出来事が、単なる青春の一場面ではなかったことが見えてくるのです。
読みどころは、淡い恋愛や友情の手触りと、ミステリーとしての反転が同居しているところです。貫井作品には重く苦い印象のものも多いですが、本作は比較的短く、読みやすい一方で、記憶の見え方が変わる瞬間にしっかりした驚きがあります。読者の反応でも、青春小説として入りやすく、後半で印象が変わる構成を楽しむ声が目立ちます。
『明日の空』は、まぶしいだけではない青春を描いた一冊です。若い頃の不安や恋が、あとから振り返った時に違う輪郭を持つ。その切なさと謎の余韻を、軽やかに味わえる作品です。
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