店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 明るい題名の奥にある、不穏で皮肉な短編を味わいたい時
- 刺さるポイント
- ささいな欲や思いつきが、取り返しのつかない結果へ静かに反転していく
- 向いている人
- ブラックユーモアや寓話性の強いショートショートが好きな人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、星新一さんのショートショート集『悪魔のいる天国』をご紹介します。
本作は、題名の通り、幸福そうに見える場所や平穏な日常の中に、ふと悪魔めいたものが顔を出す作品集です。とはいっても、恐怖を大きく叫ぶような話ではありません。人間の小さな欲、軽い思いつき、都合のいい願いが、いつの間にか思いがけない結末へつながっていく。その静かな怖さが、星新一さんらしい透明な文体で描かれます。
登場する人物たちは、特別に悪人というわけではありません。少し得をしたい、面倒を避けたい、うまく立ち回りたい。そんな誰にでもありそうな気持ちから、物語は始まります。ところが、便利な仕組みや奇妙な存在がそこに加わることで、世界のバランスが少しずつ崩れていきます。
読みどころは、笑いと冷たさが同時にくるところです。短い話の中で、読者は軽い冗談を聞いているように進みます。けれど最後の数行で、その冗談の向こうにある残酷さに気づく。天国のように見える場所ほど、そこに潜む悪魔がくっきり見えてくる構成が印象的です。
『悪魔のいる天国』は、星新一さんのブラックユーモアを味わいたい人に向いた一冊です。読みやすさは軽やかですが、読後に残るものは決して薄くありません。短い物語で、人間社会の滑稽さと怖さを同時に味わえる作品集です。
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