店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 恋愛のきれいごとだけでは片づかない感情を読みたい時
- 刺さるポイント
- 推し、執着、友情、依存のあわいにある名前のつけにくい感情を描く
- 向いている人
- 短編連作で、濃度の高い人間関係を少しずつ味わいたい人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、斜線堂有紀さんの作品、 『愛じゃないならこれは何』 についてお話しします。
この作品は、恋愛という言葉だけでは整理しきれない感情を集めた短編集です。
描かれるのは、誰かを好きになることの甘さだけではありません。憧れ、独占欲、推しへの執着、友情に似た関係、三人でいることでかろうじて保たれる均衡。そうした、名前をつけた瞬間に少しこぼれてしまうような感情が、いくつもの物語として並んでいます。
登場人物たちは、自分の気持ちをきれいに説明できる人ばかりではありません。
好きだから近づきたい。 好きだから壊したくない。 好きなのに、相手の幸せを素直に喜べない。 これは愛だと言い切りたいけれど、愛と呼ぶにはあまりにも身勝手かもしれない。
そうした揺れが、とても斜線堂有紀さんらしい鋭さで描かれています。
短編集でありながら、全体に通っているのは、関係性の境界線へのこだわりです。恋人、友人、ファン、仕事の相棒。社会が用意している名前はあるのに、実際の感情はその枠に収まりません。だから登場人物たちは、自分たちの関係を守ろうとして、時に極端な選択をしてしまいます。
読後感は軽くありません。けれど、誰かに対して抱いたことのある、言葉にしづらい執着や寂しさを見つけてしまう瞬間があります。
恋愛小説として読むこともできますが、むしろ「好き」という感情の輪郭を疑うための一冊です。
まっすぐな幸福だけではなく、少し歪んだまま輝く関係に惹かれる人に向いています。
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