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愛じゃないならこれは何 表紙

愛じゃないならこれは何

2026年5月27日 更新

今日は、斜線堂有紀さんの作品、 『愛じゃないならこれは何』 についてお話しします。

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店頭POP

今の気分に合う一冊かも

気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。

こんな時に
恋愛のきれいごとだけでは片づかない感情を読みたい時
刺さるポイント
推し、執着、友情、依存のあわいにある名前のつけにくい感情を描く
向いている人
短編連作で、濃度の高い人間関係を少しずつ味わいたい人

Reading Notes

読みどころメモ

音声レビューの要点

今日は、斜線堂有紀さんの作品、 『愛じゃないならこれは何』 についてお話しします。

この作品は、恋愛という言葉だけでは整理しきれない感情を集めた短編集です。

描かれるのは、誰かを好きになることの甘さだけではありません。憧れ、独占欲、推しへの執着、友情に似た関係、三人でいることでかろうじて保たれる均衡。そうした、名前をつけた瞬間に少しこぼれてしまうような感情が、いくつもの物語として並んでいます。

登場人物たちは、自分の気持ちをきれいに説明できる人ばかりではありません。

好きだから近づきたい。 好きだから壊したくない。 好きなのに、相手の幸せを素直に喜べない。 これは愛だと言い切りたいけれど、愛と呼ぶにはあまりにも身勝手かもしれない。

そうした揺れが、とても斜線堂有紀さんらしい鋭さで描かれています。

短編集でありながら、全体に通っているのは、関係性の境界線へのこだわりです。恋人、友人、ファン、仕事の相棒。社会が用意している名前はあるのに、実際の感情はその枠に収まりません。だから登場人物たちは、自分たちの関係を守ろうとして、時に極端な選択をしてしまいます。

読後感は軽くありません。けれど、誰かに対して抱いたことのある、言葉にしづらい執着や寂しさを見つけてしまう瞬間があります。

恋愛小説として読むこともできますが、むしろ「好き」という感情の輪郭を疑うための一冊です。

まっすぐな幸福だけではなく、少し歪んだまま輝く関係に惹かれる人に向いています。

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