店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 読み終えたあと、誰かのことを懐かしく思い出したい時
- 刺さるポイント
- 長崎から上京した青年・横道世之介の一年が、周囲の人々の記憶とともに描かれる
- 向いている人
- 派手な事件よりも、人柄と日常の積み重ねで心に残る青春小説が好きな人
Reading Notes
読みどころメモ
今日は、吉田修一さんの青春小説 『横道世之介』をご紹介します。
主人公の横道世之介は、大学進学のために長崎から東京へ出てきた青年です。 特別に器用なわけでも、目立つ野心があるわけでもありません。 けれど、どこか間の抜けた素直さと、相手を否定しないおおらかさを持っていて、彼の周りには自然と人が集まってきます。 大学の友人、アルバイト先で出会う人、裕福な家庭に育った女性。 一九八〇年代の空気の中で、世之介の一年がゆっくりと描かれていきます。
この作品の魅力は、大きな事件で読ませるのではなく、あとから思い出すと妙にまぶしい日常を積み重ねていくところにあります。 世之介は、誰かの人生を劇的に救う英雄ではありません。 それでも、彼と出会った人たちは、何年もあとになってふと彼のことを思い出します。 あの時、あの場に世之介がいたこと。 その記憶が、登場人物たちの人生に小さな明るさとして残っているのです。
吉田修一さんは、青春をただきれいなものとして描きません。 若さゆえの気まずさ、すれ違い、将来の見えなさもあります。 それでも全体に流れているのは、過ぎ去った時間へのあたたかなまなざしです。 読者は、世之介の一年を追いながら、自分にもかつて同じように、深く考えずに笑っていた時期があったことを思い出すかもしれません。
『横道世之介』は、読み終えたあとに主人公を知り合いのように感じる作品です。 派手な感動よりも、あとからじわじわ効いてくる人のよさや、日常の愛おしさを味わいたい人に向いています。
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