店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- ひとりでいる寂しさと、誰かとつながる心強さを同時に味わいたい時
- 刺さるポイント
- 真夜中の屋根のぼりという秘密の遊びから、孤独な子どもたちの連帯を描く
- 向いている人
- 静かな冒険と繊細な友情が残る青春小説を読みたい人
Reading Notes
読みどころメモ
今日は、森絵都さんの青春小説 『宇宙のみなしご』をご紹介します。
主人公の陽子と、ひとつ年下の弟リンは、 忙しい両親のもとで、子どもだけの時間を長く過ごしてきた姉弟です。 二人が見つけた秘密の遊びは、真夜中に近所の家の屋根へ上ること。 大人の目から見れば危なっかしい行為ですが、 陽子たちにとっては、日常の息苦しさから少しだけ離れ、 夜空の下で自分たちだけの場所を手に入れるような時間でした。
その遊びには、やがてリンと同じ陸上部の七瀬さんが加わります。 さらに、クラスで孤立している少年、キオスクも二人の秘密を知ることになります。 それぞれの子どもは、家庭や学校の中で言葉にしづらい孤独を抱えています。 けれど屋根の上では、肩書きや評判から少しだけ自由になり、 ただ同じ夜風の中にいる仲間として並ぶことができます。
この作品の魅力は、子どもたちを無邪気な存在としてだけ描かないところにあります。 彼らは優しくもあり、身勝手でもあり、誰かを助けたいと思いながら、 同時に自分のことで精いっぱいでもあります。 それでも、誰かの寂しさに気づいた瞬間、 自分だけが宇宙に放り出されているわけではないと知っていく。 その感覚が、物語全体を静かに支えています。
「宇宙のみなしご」というタイトルには、広すぎる世界の中で、 ひとりぼっちになってしまう心細さがあります。 けれど同時に、同じ暗さの中で手を伸ばしてくれる誰かがいるかもしれない、 という希望も含まれています。 『宇宙のみなしご』は、孤独を消し去るのではなく、 孤独を抱えたまま誰かと並ぶことのあたたかさを描いた一冊です。
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