店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 言いたいことがうまく言えなかった記憶や、子どもの頃の孤独にそっと触れたい時
- 刺さるポイント
- 言葉につまずく少年の成長を通して、伝えることと受け止められることの重さを描く
- 向いている人
- 静かな少年小説や、傷ついた心が少しずつほどける物語を読みたい人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、重松清さんの少年小説『きよしこ』をご紹介します。
主人公は、言葉をうまく口にできない少年、きよしです。伝えたいことは心の中にたくさんあるのに、いざ声にしようとすると言葉がつかえてしまう。転校を繰り返す生活の中で、自己紹介ひとつにも緊張し、友だちを作ることにも苦しみます。そんな少年の前に、あるクリスマスの夜、不思議な存在である「きよしこ」が現れます。
この作品が描くのは、特別な才能を持つ少年の成功物語ではありません。言えなかったひと言、笑われた記憶、ひとりで抱えこんだ悔しさ。そうした小さな痛みが、子どもの毎日をどれほど重くするのかを、重松清さんはとても丁寧にすくい上げています。きよしは何度もつまずきますが、そのたびに、言葉にならない思いまで見つめてくれる誰かの存在に少しずつ支えられていきます。
読んでいて胸に残るのは、うまく話せることだけが人とつながる方法ではない、という感覚です。黙っていても、うつむいていても、その人の中にはちゃんと物語がある。作品は、そんな当たり前のことを、押しつけるのではなく、少年の時間に寄り添うように伝えてくれます。
子どもの頃に言えなかった言葉を思い出す人にも、誰かの不器用さをもう少しゆっくり待ちたい人にも届く一冊です。読み終えたあとには、伝えることの難しさと、それでも伝わる瞬間のあたたかさが静かに残ります。
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