店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 軽快な会話劇の奥に仕掛けられた切なさを味わいたい時
- 刺さるポイント
- 浅草のバーに集う人々の嘘が、終盤で人を救うための物語へ反転する
- 向いている人
- 重いミステリーだけでなく、ユーモアと余韻のある道尾作品を読みたい人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、道尾秀介さんの『透明カメレオン』をご紹介します。
主人公の恭太郎は、魅力的な声を持つラジオパーソナリティです。自分の容姿には自信がなく、行きつけのバーに集まる常連たちの話を面白おかしく作り変えて、番組の中で語っています。そんなある雨の夜、バーにびしょ濡れの女性が現れ、恭太郎たちは奇妙な計画に巻き込まれていきます。
序盤は、浅草のバーを舞台にしたにぎやかな群像劇として進みます。ママや常連たちは個性的で、会話には軽さもユーモアもあります。けれど、その楽しさの裏側には、それぞれが抱える弱さや、誰にも見せたくない傷が隠れています。恭太郎自身もまた、声という才能で人を惹きつけながら、自分の本当の姿から目をそらしている人物です。
この作品で印象的なのは、嘘の扱い方です。嘘は人を欺くものとして描かれますが、それだけではありません。誰かを支えるため、崩れそうな自分を保つため、あるいは本当の気持ちを別の形で差し出すために、人は物語を作ることがあります。その嘘の意味が終盤で見え直した時、物語全体の温度が変わります。
『透明カメレオン』は、道尾作品の仕掛けの巧さを持ちながら、読後には不思議な柔らかさも残る一冊です。騙される快感だけでなく、人が嘘を必要とする理由まで味わいたい人に向いています。
Nearby Shelves
近くの棚を見る
近くの棚: 似た読み味の本
Discover More
この本から広げて探す
もっと本を探す
近いジャンルや著者から、今の気分に合う本を続けて探せます。