店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 親子の時間や、うまく言葉にできなかった家族への思いを見つめ直したい時
- 刺さるポイント
- 不器用な父と息子の年月を通して、失ったものを抱えながら人がどう家族をつくるのかを描く
- 向いている人
- 泣ける家族小説や、昭和の町を舞台にした人情味のある物語が好きな人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、重松清さんの家族小説『とんび』をご紹介します。
物語の舞台は、昭和三十年代の瀬戸内の小さな町です。運送会社で働くヤスは、妻とのあいだに生まれた息子アキラを、少し乱暴で、少し照れくさいほどまっすぐに愛しています。ところが、穏やかに続くはずだった日々は突然の悲しみによって形を変え、ヤスは周囲に助けられながら、父として息子と向き合っていくことになります。
この作品の魅力は、親子の絆をきれいな美談だけで終わらせないところにあります。ヤスは立派な父親というより、不器用で、短気で、言葉を選ぶのがうまくありません。だからこそ、息子を思う気持ちが空回りしたり、守りたい相手をかえって傷つけたりもします。それでも、町の人たちとのつながりや、長い時間の積み重ねの中で、父と子は少しずつ家族の形を作っていきます。
読みどころは、時代の空気と人情が、親子の物語に厚みを与えている点です。血のつながりだけではなく、支えてくれる人、見守ってくれる人、黙ってそばにいてくれる人がいるから、家族はかろうじて前へ進める。その温かさと痛みが、読み終えたあとに深く残ります。
親になった人にも、子どもの立場で親を思い出す人にも響く一冊です。大切な人に何を伝えられなかったのか、そしてこれから何を伝えたいのかを、そっと考えたくなる物語です。
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