店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 大切な人を失ったあとの時間と、静かな再生を描く物語に触れたい時
- 刺さるポイント
- 喪失を抱えた人たちが旅の中で出会い、悲しみの置き場所を少しずつ探していく
- 向いている人
- 重松清さんの中でも、生と死、家族、旅の余韻が深く残る長編を読みたい人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、重松清さんの長編小説『きみ去りしのち』をご紹介します。
物語の中心にいるのは、幼い息子を失った父親です。取り返しのつかない別れを前に、彼は日常の中へ戻ることができず、旅をするように各地をめぐっていきます。その道のりで、病を抱えた母に寄り添う少女や、死者の記憶を抱えた土地と出会いながら、悲しみは消えなくても、少しずつ形を変えていくのだと知っていきます。
重松清さんらしいのは、喪失を美しい涙だけでまとめないところです。残された人は、何度も同じ場所へ戻り、忘れたいと思いながら忘れられず、誰かの言葉に支えられたと思った次の瞬間には、またひとりに戻ってしまいます。けれど、その揺れの中にも、人が生き続けるための小さな光が残されています。
旅の風景は、ただの背景ではありません。海、山、町、寺、駅といった場所に、それぞれの別れと記憶が積み重なっています。主人公はその土地の空気に触れることで、自分だけが悲しみの中にいるのではないと少しずつ感じていきます。
明るく軽い読後感ではありませんが、深い悲しみを抱えたままでも、人は誰かと出会い、言葉を受け取り、次の一歩を選べるのだと静かに伝えてくれる一冊です。
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