店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 模型イベントと複数の密室事件が絡む、複雑な本格ミステリーを読みたい時
- 刺さるポイント
- 首なし死体、容疑者の重なり、別の場所で起きた事件が、単純化できない謎を作り出す
- 向いている人
- 手がかりの整理と、趣味性のある舞台設定の両方を楽しみたい人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、森博嗣さんの『数奇にして模型』をご紹介します。
本作では、模型作品の展示と交換が行われる公会堂で事件が起こります。発見されたのは首を切断された女性の死体。現場は密室状態で、同じ部屋にいた大学院生の寺林高司に疑いが向けられます。ところが、その寺林は、ほぼ同じ時期に別の大学で起きた女子大学院生殺害事件にも関わっているように見えてきます。犀川創平と西之園萌絵は、絡み合う二つの事件の構造を見極めようとします。
『数奇にして模型』の特徴は、模型という題材が単なる背景にとどまらないところです。小さなものを精密に作ること、現実を縮小して再現すること、そして複雑なものを理解できる形に置き換えること。そうした発想が、事件の見方そのものに重なっていきます。謎は大きく入り組んでいますが、犀川たちの会話はいつものように淡々としていて、混乱した状況を少しずつ分解していく感覚があります。
読者の印象としては、シリーズ後半ならではの情報量と、趣味性の強い舞台に惹かれる声が見られます。事件の構図が複雑なぶん、読みながら人物関係や時間の流れを整理する楽しさがあり、国枝桃子を含む周辺人物の存在感も作品に厚みを加えています。
『数奇にして模型』は、模型のように入り組んだ事件を、論理の手つきで組み直していくミステリーです。複数の謎が一つの形に近づいていく過程をじっくり味わいたい時におすすめです。
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