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砂嵐に星屑 表紙

砂嵐に星屑

2026年5月27日 更新

今日は、一穂ミチさんの『砂嵐に星屑』をご紹介します。

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店頭POP

今の気分に合う一冊かも

気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。

こんな時に
仕事も恋愛も思うようにいかない人たちの、それでも続く日々を読みたい時
刺さるポイント
テレビ局の裏側で働く世代も立場も違う人物たちの悩みが、季節ごとに描かれる
向いている人
お仕事小説と人間ドラマの両方を、苦味とやさしさ込みで味わいたい人

Reading Notes

読みどころメモ

音声レビューの要点

今日は、一穂ミチさんの『砂嵐に星屑』をご紹介します。

この作品は、大阪のテレビ局を舞台にした連作短編集です。華やかに見える放送の現場の裏側で、年齢も立場も違う人たちが、それぞれの不安や行き詰まりを抱えながら働いています。画面の向こうには映らない疲れ、焦り、後悔、あきらめきれない願いが、季節ごとの物語として描かれます。

登場するのは、かつての失敗を引きずるアナウンサー、家族との距離に悩む報道デスク、報われない思いを抱える若いスタッフ、将来に希望を持てない非正規のADなどです。誰もが完璧ではなく、仕事にも恋愛にも家庭にも、うまくいかない部分を持っています。それでも毎日は続き、番組も仕事も待ってはくれません。

本作の魅力は、働く人のしんどさを大げさな成功物語に変えないところです。夢を追えば必ず報われるわけではないし、努力だけで状況が一気に好転するわけでもありません。けれど、誰かの一言や、思いがけない出会い、小さな役割を果たせた瞬間が、少しだけ視界を変えてくれることがあります。

テレビ局という舞台はにぎやかですが、物語の視線はとても静かです。表に出る人も、裏方として支える人も、それぞれ自分の人生の主役であることが丁寧に描かれます。年齢を重ねること、若いままではいられないこと、思い描いた場所に立てなかったこと。その全部を抱えたまま、それでも前に進もうとする姿に温度があります。

『砂嵐に星屑』は、仕事に疲れた時ほど響く一冊です。ままならない日々の中にも、見落としていた小さな光がある。そんな読後感をくれる、苦くてやさしいお仕事小説です。

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