店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 思春期の危うさと好奇心が絡む、後味の強い心理ミステリーを読みたい時
- 刺さるポイント
- 二人の少女が死への関心に引き寄せられ、別々の夏休みの先で思わぬ真実に近づいていく
- 向いている人
- 若さの残酷さや、秘密を抱えた友情の緊張感を味わいたい人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、湊かなえさんの『少女』をご紹介します。
物語の中心にいるのは、由紀と敦子という二人の女子高生です。ある転校生が語った過去の出来事をきっかけに、二人の心には「死」というものへの危うい関心が芽生えていきます。けれども、その好奇心は単なる怖いもの見たさでは終わりません。夏休みの間、由紀は老人ホームへ、敦子は小児科病棟へ向かい、それぞれが人の命のそばで時間を過ごすことになります。
本作の読みどころは、少女たちの未熟さをただ責めるのではなく、その奥にある孤独や劣等感、誰にも言えない痛みを少しずつ見せていくところです。二人は親友でありながら、互いにすべてを打ち明けているわけではありません。相手を大切に思う気持ちと、相手より優位に立ちたい気持ちが同居していて、その不安定さが物語全体に冷たい緊張を生んでいます。
また、章を追うごとに、最初は別々に見えていた出来事が少しずつつながっていきます。誰かの何気ない言葉、隠していた過去、思い込みによるすれ違いが重なり、やがて二人の夏は思わぬ形で反転します。派手な事件だけで引っ張るのではなく、思春期特有の閉塞感や、命を理解したつもりになる危うさがじわじわ効いてくる構成です。
『少女』は、湊かなえ作品らしい鋭い心理描写と、若さの残酷さが強く残る一冊です。青春小説の形を取りながら、友情、罪悪感、生と死への想像力を問いかけてくる、苦く印象深いミステリーです。
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